2010/11/11

オークランド・アスレチックス(1)

日本シリーズが終わりました。
いよいよ冬の到来ですね~。

オフシーズン、最初の話題。

楽天の岩隈投手がA'sに落札されました。
A'sと書いてエイズと読みます。

オークランドのチームです。
スタジアムへはサンフランシスコ市内から
BARTという地下鉄に乗って行きます。

ずっと昔、といっても20年ほど前ですが、
このチームはまさに黄金期でした。

��番打者は史上最高のリードオフマン、リッキー・ヘンダーソン、
��番は40本塁打40盗塁のホセ・カンセコ
��番はかの70本塁打のマーク・マクガイア
そしてクローザーは永久欠番のデニス・エカーズリー

無敵のチームでした。

1990年、103勝59敗の圧倒的な強さでワールドシリーズに進出しました。
対戦相手はシンシナティ・レッズ。

10月19日。
オークランドコロシアム。

たまたまその日、サンフランシスコに居合わせたボクは、
チケットなど持っていないにもかかわらず、
スタジアムへと出かけました。

こんなチャンスは2度とない。
ワールドシリーズの匂いだけでも嗅いでみたい。
これです。
♪ラストゲームはあなたと♪-As行きの地下鉄駅からずっと盛り上がっていました。
たくさんの人が続々とスタジアムへ吸い込まれて行きます。

カメラを向けると気軽にポースをとるファンたち。
みんなウキウキしています。

ここまで来たのに・・・欲が出てきました。

拾った段ボールに「Need ticket #1」と書き、ゲートの前に立ちました。

大勢の人たちが続々と目の前を通り過ぎます。
Good Luck」と声をかけてくれる人もいました。
しかし、余ったチケットなど、あろうはずがありません。

ペナントレースならいざ知らず、
ワールドシリーズ第3戦、地元での初戦です。

スタジアムの外に国歌が聞こえてきました。
そして大歓声が。

冗談じゃありません。
まだ試合は終わっていません。

試合開始から2時間近く経過。
さすがに人影はまばら。

ボードを掲げているのはボクひとりで、
「もう無理かな」
なかばあきらめかけたボクに向かって、
ゲートから出てきた年配の女性が近づいてきました。

退去命令
怒られるのかな?
首をすくめたところへ、声をかけられました。

観たいの?

ビックリしました。
全身がカ~と熱くなりました。

「も、もちろん」
「あっそう。ならついてきて」


彼女の後に従いました。
しかし方向が違います。
スタジアムから離れ、どんどん駐車場へ向かっています。

「どうして?」
いぶかるボクに、振り返った彼女が、
「荷物をとりにきたふりをしないとね。係員の前ではダメよ。私は用事があってこのまま帰るから、この半券で入りなさい。駐車場から戻ったふりして・・・」

そんなことが可能なのか、半券を見つめるボクに、
「大丈夫よ」

アメリカではそういう手が通用するのかも知れない。
にわかには信じられなかったが、運を天にまかせることに。

「ありがとうございます」
ていねいにを言うと、
「うん、じゃあ、30ドルでいいわ」

えっ!
これ売るんだ?

「もう試合は終盤だし、それにあなたは用事があって帰るのでしょう」
とは口がさけても言えません。

ワールドシリーズが観られる、これに尽きるわけです。

30ドルをポケットから取り出すと、
「A'sが好きなの?」
「そりゃもう、大好き。A'sが観たくて日本から・・・」

おいおい、そんな話をしている場合じゃない。
早く行かないと試合が終わる。

あせるボクに、
「あのさ、第5戦のチケットをもってるんだけど」
「え~!?」
「あたし行けないから、行く気があるなら譲るけど・・・」
「ほ、本当? ぜ、ぜひ!

すっかり動転するボクに、
「うん、じゃあ、80ドルでいいわ」

えっ?
あっ、いや、当然ですね、未使用のチケットなんだから。

さすがに話がうま過ぎるような気がして、
日付や記入事項をじっくりチェックした。

うん?

「これ、50ドルだけど?」
「そりゃそうよ。なかなか手に入らないチケットだもの」

この際、彼女の人柄はどうでもいいわけです。

計110ドルで手に入れた、ちぎれた半券と第5戦のチケットを握りしめ、
ボクはオークランドコロシアムに突入したのでした。

つづく・・・・かな?

※ちなみにこの当時の為替レートでは、1ドル=270円ほどでした。

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