25歳。
前任者から引き会わされた時、
なんでこんな世間をまだ知らないような
若造が
ウチの担当なのよと
クレームをつけたほどの
おとなしめの草食っぽいタイプ。
その後、なんどか会って
お茶など飲みながら
世間話をしたりして、多少の距離は縮まったものの、
どうも
頼りない印象はぬぐえなかった。
先月、
電話があった時に、
「あ、あの~、ボク、明日試合なんです」と。
「なんだ、野球やってるんだ?

」
「あ、いや、上司に出ろって言われたんですよ」
「なるほど~、メンバー足りないのか~。俺が助っ人に行ってやるよ~

」
「あ、いや、それは大丈夫だと思いますけど・・・」
「なんだそれ! 行くわけないだろ~

」
なんて話で終わったのが、
今日、年末の
挨拶で青年から電話がきた。
「そういえば、どうだったんだのよ、試合は

」
「あ、はい、ピッチャーやらされまして」
「うん、で?

」
「あ、大会の決勝だったんですよ」
「え? で?

」
「あ、はい、優勝しちゃいました」
「なぬ? ちょっと、どういうこと?

」
聞けば<がんばろう野球大会>での
決勝戦だとか。
ボクはあわててサイトを調べた。
3-0、完封してるじゃないか。
「あのさ、どういうこと?

」
「あ、いや、本来はショートなんですけど、ピッチャーやらされまして・・・」
「そういうことじゃないの? キミは相当にうまいわけ?

」
「あ、いや、ど~すかね~、そうでもないと思いますけど・・・」
「だって完封してるじゃないの?

」
「あ、上尾市民のスピードガンでは133キロ出てましたが・・・」
「・・・

」